オランダと言えばリートフェルト。
デ・ステイル 三原色。
期待通り、楽しかったですぞ。
もう家具も詳しい建築家らしく
実にコチョコチョと色んな技が入ってます。
中は撮影不可で紹介できませんが
まず外観は街並みとは全く異質で
長屋の端っこにくっついています。
公園に面していてチャーミングな敷地。
「世界は神がつくったが
オランダはオランダ人がつくった」…と言うくらい
干拓で国土を広げた経緯からして
新しいものに対して「スポンジ」と称されるほど
受け入れる国民性があるようです。だから…
この突然現れた違和感のある住宅も、好意的に街に属しております。
好意的っていうか、世界遺産なんだけれどもね。笑
リートフェルト邸のまん前の高架のペイントも
デステイル三原色でありました。
ちなみに、数ブロック先にミッフィーのブルーナ美術館がありますが
掠りもせずに次の目的に立ち去ったのであります。
行くまでは無機質でシンプル…なものを想像してましたが
仕上げが木質(スチールもある)にペンキというせいもあるが、
デ・ステイルというその時代には非常にアバンギャルド(前衛)で
先進的であったろう運動が持つ響きより、
ずっとずっと温かく住宅として居心地が良さそうである。
たぶん温かさを感じるのは、人の手により成り立つ仕掛けの数々でもあり、
夜になると窓を覆うための黒い板、
階段前の紐を引っ張ると開く装置の引き戸、
何工程か踏んで
(慣れないと指を詰めそうな)引き込まれる上階の引き戸の仕掛け、
キッチンから温度そのままに
直行出来るダムウェーター、階段上部の折りたたみ扉の光庭。
さらにヒューマンスケールのデザインであることも重要であって、
例えば大人と子供の高さの違うコート掛け、
その下の温水パネルを隠蔽(保護)する棚、
背もたれ革張りベンチに座ってお喋り出来るデンワ台。
郵便物が届いたら分かるポスト口、
ヘンテコなデザインを隠せる傘掛けや
忘れない位置に考えたキーホルダー。
「住み手力」が偲ばれるのは突き付けガラスのコーナー窓、
子供のベッドの配置
そして数々の家具など目的のために思い切って採用したコンテンツは
「安全・安心」を唱えたら実現しないものである。
日本人にとっては引き戸は決して珍しいものではないけれど、
開けたり閉じたりするプログラムを
面白がって住み手と組み立てた様子が伝わってきて
幸せな住宅だなぁと羨ましく思う。